小学校受験では、毎年ほぼ考査内容が変わらない(もちろん出題する問題は変わりますが)学校と、がらりと考査内容を変える学校、マイナーチェンジする学校があります。
小学校受験 試験内容に変化がある学校と無い学校 それぞれの傾向と対策とは
試験(考査)内容を変える学校
時代のニーズに合わせている
小学校が入試の際に考査内容を例年とはがらりと(または一部)変更してくる理由のひとつに「時代のニーズに合わせている」というものがあると思います。
例えば、今小学校受験をする層が一昔前とは全然違ってきていますよね。
以前は、お坊ちゃま・お嬢様と呼ばれるような上流家庭だけがする特別なものだった小学校受験が、今は我が家のような普通のサラリーマン家庭やひとり親家庭などもチャレンジできる環境になっています。
以前は私のようなフルタイムの一般会社員のママは、私立小学校ではあまり見かけなかったのではないかと思います。
そんな中、いつまでも旧体制のお受験家庭層にこだわっていては、学校も志願者が減ってしまったり、時流を読んだ対応をしている新興校に負けてしまうという心配もあるでしょうし、
多様性を認めていくという世界の流れによって、共働きやひとり親家庭に対しても門戸を広げていったのだろうと思います。
お受験界に共働き家庭の割合が増え、母親も超高学歴というパターンも増えています。
それに伴い、基礎学力の底上げをしてくれる学校を求める親や、いずれは大学受験で医学部や国立大学などの難関に進ませたいと願う親が増えてきたこともあり
最近は、単なる小学校の知名度や伝統だけではなく、その先の進学率や進学先等々、先々を見越して受験する小学校を選ぶ親が多くなっているようです。
それもあって、この先少子化の時代、私立小学校が生き残るためには「学力面や思考力を重視する」方向にシフトする学校がでてくるのはやむを得ないことかもしれません。
これまでの試験(考査)で合格させた生徒にある問題点を改善したいと思っている
これも完全に推測や噂の範囲の話ですが
例えば、これまでペーパーを重視していた学校(もちろん総合力も必要ですが、ペーパーができていないとまずお話にならないような学校)があって
その学校の在校生の中で、超陰険ないじめが頻発し、被害にあった子供たちが不登校や転校をする子が増えてきたとします。
すると学校としては「来年度からは学力だけではなく、非認知能力を重視する考査をしよう。」「学力の合格ラインを多少落としてでも、協調性がある優しい子を選ぼう」とシフトチェンジするわけです。
大幅な考査内容の変更がなかったとしても
マイナーチェンジ(配点のバランスが変わる、重視するポイントが変わる)をするわけです。
また縁故が多いと言われている学校の場合、縁故で無条件合格させてきた子供たちに問題が頻発している場合などは、翌年からその筋の縁故の子供の枠を減らす、ということもあるかもしれませんよね。
この場合も、大手幼児教室等、在校生保護者や学校側からの情報を多く持っているところで、リサーチしておく必要がありそうです。
弱点補強
これも、さきほどお話したことと同じですが、
在校生たちに「授業を落ち着いて聞けない子が多い」「算数がとても弱い」などの弱点があった場合は、行動観察やペーパーテストで、そういった弱点の傾向が少ない子を取ろうという風になることもありえます。
私立小学校も、ある意味「商売」なので 弱点を補強して、学校としての人気や偏差値、品位を保ちたいと願うのは当然と言えば当然です。
考査内容を変えない学校
第一志望にしている子供を優先的に入学させたい
考査の内容を変えない=過去問から傾向と対策をしっかり講じておけば、「考査が難しくてお手上げだった」という状態は回避できます。
また、幼児教室で その学校の「志望校別クラス」を取っている家庭であれば、長い時間をかけて過去問に沿った対策をしていくわけですから、その学校の考査の傾向にあった準備ができるため、必然的に合格できる確率も上がります。
学校別クラスがある幼児教室はたくさんありますが
「○○小学校であれば××幼児教室の〇〇小学校クラスがいいよ~」と噂される幼児教室は、例年ものすごい数の合格実績を叩きだしています。
これは、その幼児教室の指導方法や情報量が多いことはもちろん1つのファクターですが、「その学校を熱心に目指している家庭が集まっている」ことが合格率の高さの一番の要因のような気がしています。
その学校の研究や対策を怠らず、その学校の考査に照準を合わせてきたかどうかを見極めるために、その学校ならではの独特の考査をしたり、毎年同じような考査をしたりしている学校はあると思います。
学校が求めているものに一貫性がある
建学の精神、というのはどの学校にもあるものです。
「こういう目的で、こういう子供を、こういう方法で育てていく」という方針が、まったくぶれていない学校は、「こういう子供を」の部分ももちろんぶれないわけです。
だから考査で「こういう子が欲しい」と思う子供像も、ずっと変わりません。
(それがその子自身のポテンシャルや能力なのか、家庭力なのか、それはその学校に寄りますが)
突然の変更もありうる
長年ノンペーパー校だった学校が、ペーパー試験を取り入れたり
面接の方式が変わったり 行動観察の比重が変わったり
こういった変更は「5年後からこういう試験に変えますよ」と事前アナウンスがあるわけではなく、突然変更されるので困ります。
直前の入試説明会は必ずチェック
多くの学校は、年に何回か学校説明会を実施しますが、
考査本番直前の説明会では入試内容についての説明がなされることが多いので
絶対に、聞き逃してはいけません。
学校によっては、細かく「こういうことを見るために、こういう試験をしますよ」
「ペーパーはスピードも必要になります」などなどヒントを下さる学校もあります。
それほど詳しくなかったとしても、例年と大きく変わる点がある場合、知らせてくださると思います。
どんなに忙しくても、この9月頃行われる学校説明会には、併願校も含めて参加すべきです。
もしどうしてもできなかった場合、大手幼児教室であれば、先生に内容を教えて頂くようにしましょう。
志望校別の対策だけでなく、総合的な対策は不可欠
突然の考査内容の変更で一番怖いのは
「学校別の対策しかしていない」ということです。
例えば、もしノンペーパー校だと思って準備していたのに、9月にいきなり「ペーパーテストも導入します」と言われたらすごく焦りますよね。
他にも、ペーパー重視校だと思ってペーパーばかりやってきたけれど
どうやら昨年あたりからペーパーよりも行動観察を重視しているらしい・・・と幼児教室の先生から聞いたら、これもまた焦ります。
こういうことは、どこの学校にもあり得ることでしょう。
絶対に絶対に、来年も今年と同じ試験をするかどうかなんて、誰にも分からないですから。
だから大事なのは、たとえ第一志望校1校しか受験しないとしても
志望校別クラスを受講するだけでなく、総合力をつけておくことなんです。
我が家は某大手幼児教室に、初めてお話を聞きにいったとき(当時まだ新年中くらい)
「うちは普通のサラリーマン家庭です。経済力も時間も余裕がありません。できれば1つのクラスだけ取りたいのですが(結局、新年長では3つの教室で計4個のクラスを取りましたが……)一つだけ取るとするならば、総合的に学ぶクラスでしょうか。または、志望校別クラスでしょうか」と質問したとき
その幼児教室の先生は「どうしてもひとつしかクラスを取れないなら、絶対に総合クラスです。一択です。総合クラスだけで合格する子はたくさんいますが、志望校別クラスだけとって合格する子は、事情(縁故)がある子が多いです」というような話をされました。
我が家は志望校別のクラスで得たものがとても大きいので、
お受験の後輩たちには「志望校別クラスは絶対に取るべき」とおすすめしていますが、やはり志望校別クラスではない、他のクラスでのお勉強も、子供の成長に大きく貢献してくれましたし、合格をつかみとるために必要なものだったと、今振りかえってもそう思います。
我が家が年中の頃 お世話になっていたA幼児教室の総合クラスは
ペーパー、行動観察、絵画制作、巧緻性、受験体操、面接対策などを
すべて網羅してくれていました。
(ですから、もちろん1個1個の内容は決して濃くはありませんでしたが)
新年長になると、それぞれの専科クラスがあるお教室も増えてきて
総合クラスはお勉強中心(ペーパーや巧緻性、言語など)を中心にやるところが増えてくるかとは思いますが
もし、お勉強系のクラスに、専科クラスに、志望校別クラスを取るなんて時間的にも金銭的にも難しいという場合は、
A幼児教室のように、広く浅くカバーしてくれる総合クラスでもいいので、1つ通っておいたほうがいいです。
そうすれば、突然「来年からは〇〇テストも導入します」などと言われても「一切やらせたことない。どうしよう」と焦る必要はなくなります。
お受験準備は、小学校入学への備えと考えバランスよく
我が家は、総合クラス、専科クラス、志望校別クラスとを、いくつかの幼児教室にわけていくつも取って、必死で頑張って、ようやく第一志望の合格をつかめたという家庭です。
今、同じ学校に通っているお友達のママに話を聞くと、ほとんどのご家庭が我が家と同じような感じですね。
今通っている学校の学校別対策クラスをどこかの幼児教室でとっていました。
ただ、ごくたまに学校別クラスには通わずに合格したというお子さんもいます。
その方に話を聞くと
- 大手幼児教室の総合クラスに3年間
- 共働き家庭だけれど、躾をしてくれそうな幼稚園に通わせた
という対策だけをしたそうです。
この方は何かしらの縁故があったかどうかなどは知りませんが
他の難関私立校にも数校ご縁を頂いていたそうなので、まさに総合力があったのだろうと思います。(あとコツコツ長い時間をかけて蓄積したものが大きいと思う)
そのママに伺うと「小学校受験がダメでも、中学受験もあるから、何がなんでも私立小という思いはなくて、小学校入学前の準備として幼児教室に通っていただけ」と仰っていました。
確かにその通り。
小学校側は「この子が小学校に入学しても問題なく学校生活が送れるか」を見ているわけですから、我々親も、そういうつもりでお受験準備をすべきなんですよね。
ついつい、過去問に出たこと、学校がよく出題するペーパーの単元にばかり目がいきますが、知力だけでなく、基本的な生活習慣や人の話を聞く態度、マナーや常識、生活巧緻性、自立心、主体性などなどを身につけて、親子共々楽しい小学校生活が送れるように準備することが「小学校受験」なのです。